007 スカイフォール

この作品はダニエル・クレイグが主役をつとめた007作品の3作目。彼が1作目の『カジノロワイヤル』、そして2作目の『慰めの報酬』を経て、彼の演じるジェームズ・ボンド像が完成した作品である。

まずなんといっても『スカイフォール』ではショーンコネリー演じる初代ジェームズ・ボンドから50年続く規律をやぶったある種の「タブー」作品であることに注目すべきだ。

これまでジェームズ・ボンドという主人公は容姿端麗、スマート、格闘にも優れ、無限のお金を豪遊し、その時代の最高級の車を乗り回し、女性にモテる、まさにイギリス男性の完璧な理想像であることだ。したがって、どの作品でも基本弱みを見せることはなく、難解なミッションをそつなく淡々と、優雅にこなしていく。その姿にイギリスをはじめ全世界のファンが熱狂した。

そして、この『スカイフォール』ではなんとあえて”カッコ悪い”ジェームズ・ボンド像に挑戦したのだ。以前の完璧な男性像を全て撤廃し、年齢を重ねて身体的にも、戦略的にも衰えていく彼の姿を描いたのだ。これまでのファンからすればこんなジェームズ・ボンドは見たくない、目をそらしたい、そんな衰えていく状況の中、ボンドは自分を見つめ直していく。

ジェームズ・ボンド、その人となりを詳細に最も描写した作品でもあり、(これまでのシリーズで彼の過去や生い立ちに触れた作品はほとんどない)ベールに包まれていた彼の人生や本当の素の部分を人間関係、スカイフォールという地名から紐解いていく。

そして、極め付けは”原点回帰”である。シリーズ全ての要素をふまえて、ジェームズ・ボンドが”原点回帰”をする。この一連の流れを2時間23分にまとめあげる脚本もまた素晴らしい。2作目の『慰めの報酬』で注目が低下した中でこの『スカイフォール』が007史上最高額の興行収入を叩き出した。007の中で異色の「タブー」に触れたこの作品。是非ご覧いただきたい。

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